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オセロ

オセロのマニアックな話を書きます
月別アーカイブ  [ 2023年11月 ] 

オセロは終わったのか 

オセロ界が世界選手権で盛り上がっている中、衝撃の情報が飛び込んで来ました。
双方最善を尽くした場合に引分になるというのが証明されたと言うのです!(論文はこちら
論文の技術的解説についてはにゃにゃんさんの記事に詳しくありますので、ここではオセラー的見解を述べようと思います。(注:以下の内容の大部分は多くのオセラーにとっては常識である。)

双方最善で引分であることが判明しても人間同士の対局に影響を与えることはないと言われています。
理由としては以下の二つがよく挙げられているようです:
1. 元々双方最善で引き分けであることはほぼ確実視されていた
2. 最善手を暗記しようとしても分岐の数が多すぎるので人間には覚えきれない

1に関しては私も同意するところです。
しかし2はどうでしょうか?検証してみましょう。

まず、双方最善の引分進行はいくつあるのでしょうか?
SAIOによれば、2022年の10月時点で29個空き(つまり31手目まで)で260125通り見つかっているとされています。
確かに26万通りを全部覚えるのは人間にはちょっと無理そうですよね。
しかも仮に全部覚えても29個空き以降を自力で正しく打つというのもかなり無理な話で、実際にはもっと終盤まで覚えねばならず分岐は更に増えます。

ですが、少し考えればわかりますが、実戦的にはこの260125通りを全部覚える必要はありません。
というのも、自分が黒の時、白の時それぞれ打つ手を固定しておけば、それ以外の最善進行は覚える必要がないためです。
では、自分の打つ手を上手く固定した場合、どれくらい覚えればよいのでしょうか?
直感的には、分岐の回数が半分になるので平方根くらい、500くらいという予想が立つと思います。
しかし、実際はそれよりもはるかに少ないのです!(注:と信じられている。)
このような「自分が手を上手く固定した場合に分岐がどれくらいあるか」という概念は「最小暗記数指標」あるいは「うみがめ数」などとして知られていて、既に多くのオセロ研究ソフト上で実装されています。(注:うみがめさん、世界選手権優勝おめでとうございます。)
今回はdroidShimaxというソフトで検証していきます。(注:公式配布の強化Book使用。深さは35)
初期局面で評価値とうみがめ数を表示させると以下のようになります。

2023111413262493d.png


まず+0というのが、評価値、つまり双方最善なら引き分けということです。(注:もちろんこれは完全読みという意味ではないが、上記論文が正しければこれは実際に真の値である)
そしてその下に表示されている74:4というのが、36手目以降の分岐を無視した場合に、黒が覚える分岐数が74、白が覚えるべき分岐数が4ということです。(注:f5d6c3d3c4とf5d6c4d3c3が重複カウントされているため白の方が4となっているが、実際は2である。)
26万に比べたらはるかに少なく、これくらいなら覚えられそうな気になりますよね! 
つまり、黒と白合わせて78通り覚えれば、「オセロの神様」相手に少なくとも35手目までは必ず引分の形勢で進められるわけです。(ここで「オセロの神様」は最善手のみを打つプレイヤーの意)
更に言えば、35手目まででなく最終手までの分岐を全て数えてもそこまで爆発的には増えず、黒はせいぜい150程度、白は4のままだと思います。(注:最終手までの分岐数を数える方法を持ち合わせていないので数値は私の半手動カウントによる。もし大きく間違ってたら教えてください。)
つまり150程度の棋譜を全暗記すれば、どんな初心者でも「オセロの神様」相手に必ず引き分けに持ち込めるわけです。
これら全てを覚えるのはそれなりに大変ではありますが、根気よく勉強すればそう長い時間をかけずとも人間に実行可能な範囲です。
というわけで、「オセロは終わった」のでしょうか?

もちろんそんなはずはありません。
実際には意図的に(あるいは非意図的に)最善ではない手を打つことにより上記約150通りからは逃れることは可能です。
そして、最善でない手まで含めて対応を全暗記すると、流石に分岐数が天文学的になってしまい、人間の人生の期間ではそもそも全てを並べることすら不可能なレベルです。
そのため、仮に初心者が上記約150を全暗記したとしても、人間の高段者がこれを倒すのは容易です。
一方で、棋力自体も強い人間がこれらを全部覚えたとしたらどうでしょう?
暗記を外して引分を回避するためには何かしら最善でない手を打たなければいけませんが、あまりに悪い手を打ってしまうと棋力で勝ち切られてしまいます。
そこで、最善でない手のなかでも、悪すぎない手を打つ必要があります。
ではそのような「悪すぎない」変化はいくつあるのでしょうか?
それら全てまで含めて完全暗記することは不可能なのでしょうか?
これらについては次回の記事で検討しようと思います。
(注:次回がいつあるかは不明)
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[ 2023/11/14 05:28 ] 未分類 | TB(0) | CM(0)

名人戦 

というわけで2023年の名人戦は何故か決勝まで来ました。

準決勝と決勝の間の僅かな休憩時間に高橋九段の対策を頑張りました。
で、試合始まる直前に決勝の相手が高橋九段ではなくて栗田八段だったことが判明しました。
隣の準決勝の結果をちゃんと確認せずに二人の顔色だけで判断したのが失敗でした。

試合開始前にインタビューがあって、「最後まで諦めずに頑張ります」的な事を言いました。

試合は私の黒番(引き分け勝権利有)で始まりました。
準決勝後の休憩中に対戦相手を勘違いしていたこともあり、ノーカンか斜めで想定していたので8手目f3打たれた時点で全くの無策でした。
(ところで今まで8手目f3がStephensonだと思ってたんですが、シマックスによると7手目時点でStephensonって出るので、そうすると8手目f3はなんて呼べばいいんですかね。)
そこで仕方ないので準決勝と同じ謎定石を打ちました。

2023-0620-1.png

黒e7まで

一応準決勝の時に隣の二人が序盤こちらの盤面を見てなかった事は確認していたので流石に研究は外せるだろうと思っていました。
しかし、栗田八段は平然と対応してきます。
後から聞いたのですが、なんと準決勝終了後にLive Othelloで確認済だったようです。
久々の決勝進出に舞い上がってLive Othelloの存在を完全に忘れていました。
私が対戦相手を勘違いしている間に準決勝の棋譜までチェックされていて、試合開始前の時点で既に大きな差をつけられていたようです。

ですが、この進行があまりに弱すぎたためか栗田八段はそこまで本気で対策をしてこなかったのが幸いしました。


2023-1101-1.png

黒番

既にほぼ互角の形勢
ここはa3h3f2からb3を狙っていけば黒やや打ちやすいと最初思ったのですが、f2h3a3の順の方が右上ボックスコーナーが白になる分得だと思ってf2に打ってしまいました。
しかし、冷静に考えるとそれだと黒b3へのアクセスが消えているのでどう考えても損です。
f2h3まで打ってからそのことに気が付き、仕方ないのでe1に方針転換しましたが、こんな自明な事を見落としてるようでは勝ち目がないと早くも諦めかけました。

しかしその後紆余曲折を経て下図、終盤でチャンスが巡ってきました。

2023-1101-2.png

黒番

ここで残り時間は9分半程度。
まず小考でd1c1g2h1h2g1h5f1h4a1b2a7b7以下略の筋を数えて2石勝ちになると思いました。
本来であれば時間を使い切って何度も確認すべきところですが、この日8試合目で既に異常に疲れていたため、それで勝ちという判断にすぐに飛び付いてしまいました。
実戦は上記手順の通りに進みましたが、カウンティングの際にb2の時に何故かg2までひっくり返してたことに気づいて終わったと思いました。

そのことに気がついて呆然としながら迎えた下図

2023-1101-3.png

黒番

ここでまだ6分くらい余ってたので一応b7に代えてg7も数えましたが、結局負けという結論になりました。
こんな負け確定局面で長考するのも見苦しいかと思い割りとすぐに諦めてb7に打ってそのまま負けました。

終局直後、棋譜係の末國九段に何やってるんだと怒られました。
最初d1のところを言われてるのかと思って、あーやっぱg2でしたかねははは、くらいに思ってたのですが、どうやら6個空きの局面でg7からやればb8の時に斜めが根元までかえるので黒引き分け勝ちだとの事でした。
普段あまりオセロの試合の結果に一喜一憂しないようにしてますが、これには流石にマジで!と叫んでしまいました。
(ちなみに隣の三決はまだ対局中でした、叫んでしまってごめんなさい…)

これからは「最後まで諦めずに頑張る」事を心に誓って帰路につきました

王座戦編へ続く
[ 2023/11/04 18:30 ] 未分類 | TB(0) | CM(0)
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